隣に座っていいですか?


春風の次にやってきたのは

むさくるしい男でした。

「おばちゃんおはよー。かけそばちょーだい」

あくび混じりで堂々と店に入り
堂々とカウンターに座る。

午後の2時に
何が『おはよー』だよ。

数少ないけど
テーブル空いてるんだから
テーブル座ればいいのに。

「恵子ちゃん腰はどう?来週の試合出れそう?」

「どうかなー。本人は出るって言ってるけどさー、アキレスでも切られたらどーにもならんからねー」

「天才アタッカーが出ないと負けるだろ」

「おじさん、何十年前の話してんだよ」


ははは……と
平和に笑ってるし。

実の娘より
私の家族に馴染んじゃねーよ!

寝ぐせをつけて
ソバを食べに来たのは
隣のクリーニング屋の長男。

服部 達也
(はっとり たつや)
25歳 エリート銀行員。

私と同じ歳
幼稚園 中学 高校と
ずーっと一緒のくされ縁。

背が高くて
スーツの似合う
俗にいう

イケメン……らしいが
近くでずーっと見てると
価値もわからなくなる。



< 4 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop