隣に座っていいですか?
本当だ
もう桜もラストかな
花びらが散ってゆく
寂しくて切なくて
美しくて
潔い。
「お茶をどうぞ」
桜の木の下
白いベンチに座ると
田辺さんが紅茶セットを用意していて、白いカップにポットから注いでくれた。
終りゆく桜を見ながら
春の風を感じ
外で飲む紅茶はとても美味しいのだけれど
私の心は下を向く。
「桜ちゃんは?」
「お友達の家に遊びに行きました」
へぇ
それはいい事だ。
「幼稚園でも楽しそうに過ごしていると、先生に教えてもらいました」
田辺さんは微笑み
静かに私の隣に座る。
大人ふたりが座ると
肩が触れそうなくらいの小さなベンチ
距離の近さに少し緊張
いや
こないだ傷付けてしまった事に負い目があり、しっかり緊張する私。
負い目を取ろう
深く息を吸い
先日の失礼を謝ろうとしていると
「妻は優しい人でした」
ゆっくりと
時間が流れる。