隣に座っていいですか?

何よこれ?

「達ちゃんありがとう。郁美おつかれ」

お疲れ?

隣を見ると
達也の苦い顔。

「うちの母さんから電話あって、おばさんがママさんバレーの練習で右手にひびが入ったみたいで……その、元気だけど……おじさんが怒るから郁美を連れて来いって言われて」

ママさんバレーで手首にひび。

「ひび?」
身体中の力が抜け
達也が支える。

「痛かったよー。痛み止めの点滴をしてたけど、まだ痛いよ。お父さんの怒った顔を思い浮かべると最高に痛い」

「わかる」

おばさんふたりで笑ってるし。
本当に痛いのか?

「レシーブの時転んで手を付いたんだって、一応大事を取って救急車で運んだらしい。ひびって言ってもズレてない骨折みたいなもんだから、手術はしないけど骨折治療が必要かもね」

達也の声が遠く聞こえる。

「人騒がせしないでよ。交通事故とか思ったじゃん」
心配かけて!
もうキレるよ私。

「ごめん。だって……趣味のバレーでケガしてさぁ、店があるからお父さんに怒られるもん」

そうだよね
しばらく腕を固定しないといけないし、自由も効かないだろうし……。

ジッと
恵子おばさんとふたり
私を見つめる。

何よそれ?
ジワリと嫌な予感。

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