先生と教官室3~沢山の初めて~
「二人の関係に気が付いた時は驚きましたよ。でも、口を出そうとは全く思いませんでした。」
先ほどからの衝撃発言に呆気にとられている俺に、冨田先生は話し続ける。
「まぁ恋愛は自由ですしね。僕自身も昔、同じ立場であったこともありますが。それと……」
「それと?」
「お二人の様子からとても真剣な関係だということが伝わってきたので。一目見ただけで、お互いがそれぞれのことを大切に想っていることが直ぐ解りましたよ。なので、僕は何も言いませんでした。
「――――っっ。」
今までそんなことを言われたことが無かったからか、いきなりの発言をくらった驚きからか、胸の鼓動か激しく振動していくのが解る。
まさかあまり関係をもったことがない冨田先生にここまで見破られていたとは。
これ、伊緒に言ったら驚くだろうな…。
いやでも、伊緒と冨田先生って面識あるのか?
「甲田先生?」
「あ、はい…なんですか?」
「ご結婚はいつごろされるんですか?」
「うえぇっっ??!」
「ふっ、あはははは。甲田先生って以外に表情か変わる方だったんですね。てっきりもっとクールな方だと思っていましたよ。」
階段を降り終えて再び長い廊下を歩きながら、冨田先生は声を出して笑う。
そういう冨田先生は想像以上に笑われる方だったんだな…てっきり、冷静沈着であまり笑わない人だと思っていた。
「で、甲田先生。どうなんです?」
笑っている表情はそのまま、俺の方に視線だけ向ける冨田先生。
その姿は男からみても格好良くて、また、全てを見透かされているみたいで嘘はつけないなと一瞬で感じた。