今宵、きみを想う
 50名まで可の居酒屋の1部屋を30人で占拠。


 ゆったりしていて、みんな移動しながらはしゃいでた。


 
 ドキドキするのを抑えられないままに、彼のいる方へ近づく。


 誰にでも愛想がよくて、話も上手なキミ。


 相変わらず周りには男女問わず人が集まっていた。



 ―――出来たら、二人で話がしたいな。


 ―――そして、願わくば……



 淡い期待。



 抱くくらい、いいでしょ?



 そう自分に言い聞かせながら、キミの斜め前が空いたのを見て、するりと座り込んだ。



 「お邪魔しまーすっ」

 「おぉ! 久しぶりぃ!!」



 周りのみんなも、彼も一緒になって私に久しぶりと言ってくれる。


 それだけでなんか、軽い高揚感。


 そんなに仲良くなかった子でも、10年も経ったらなんか普通で。


 当時よりも友達みたいに会話が弾む。


 これが大人ってこと? なんて思いながら楽しくなってお酒も進む。




 だけど―――次の一言で私は固まった。



 だって、私……そんなの、聞いてない。
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