今宵、きみを想う
 *


 やりすぎだよな……


 くったりと力のなくなった体を横たえて、寝息もたてずに静かに眠る彼女を見下ろしながら息を吐いた。


 ―――ゴメン。


 なんて百万回くらい君に言ってる。


 もちろん頭の中で。

 
 本人に直接言えるわけもなくて、でも謝ってばかりだ。


 ただ好きなだけなのに。


 それが素直に出せなくて。

 
 君が……まだアイツのことを想ってるんじゃないかとか、俺なんか一時凌ぎの付き合いだと思ってるんじゃないのかとか。


 そんなことばっかり考えてしまって、そうしたらただ支配したくなってつい求めすぎてしまう。


 どうしたら俺でいっぱいになるんだろうと思って、単純な俺は体力を奪って縛りつけることしか能がなくて。


 こんなことで彼女の心が手に入るはずがないのに……


 馬鹿な俺は、それでも毎度同じことをしてしまう。


 本当に馬鹿だ、本当に。
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