今宵、きみを想う
 『キスして』



 初めて女の子に言われてドキドキした。


 真剣な表情で見つめてくる彼女。


 本当はうっすら気づいていた、彼女の気持ち。


 だけどそれを受け止めきれなかったのは、自分の未熟さと……


 やっぱり君の存在。


 どっちが好きなのか決めきれず、だけど彼女の傍から離れられなくて結局彼女も俺も苦しんだ。


 ちゃんと、終らせなければダメなんだ。


 そう何度も何度も言い聞かせて



 『分かった』



 俺は、彼女の気持ちが聞けぬままにお願いを受け入れた。
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