今宵、きみを想う
 外気の冷たさも、ミルクティの温もりも。


 一切の感覚を失った。


 感じるのは肩に置かれた彼の手の温もりと、その大きさだけ。


 戸惑いに、瞳が揺れるのに。


 揺らがない彼の瞳が怖い。




 私、本当はずっと、この瞳を知っていた。



 強くてまっすぐな瞳を。



 まっすぐすぎて、逸らしたことが何度かあったことを―――



 今になって思い出した。




 「答えて」



 静かにそう続ける彼に、ビクッと体が震える。


 

 「そん、な。そんな2択、ずるいじゃないっ」

 「うるさい。俺だって、限界なんだよ。お前想って何年経つと思ってんだよ? いい加減俺だって、俺だってもう終わらせたいんだよ片思いを!!」




 叫ぶ彼の声が、声の大きさ以上に胸を貫いて刺さる。


 片思いを終わらせたい、ってすっごく分かるな。



 ははっ。



 私多分、どうかしてる。




 目の前の、このまっすぐな奴が―――
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