気まぐれ王子とサル女
「なな、どうした?」
ついさっきまで
楽しそうにノロケ話をしていた爽太も
珍しく泣いている私を
心配しているらしい。
でも、私にとって
爽太のその優しさこそが胸に痛んだ。
彼女がいるのに優しくしないでよ。
その時、私は爽太のことが
好きなんだって実感した。
「...痛い痛い痛い痛い。
コンタクトがずれちゃったよー」
私は正直なことは言えず
明るく振舞った。
そんな時、爽太は
「何だよ、心配して損した。
サルも涙が出るんだな。」
笑いながら話す。
私の気も知らないで...
この場にいるのが苦しくなった私は
「トイレ言ってくるね!」
と言って爽太から離れた。