明日、あなたが目覚めたら

▷先輩の、おせっかい

◇◇



立ち入り禁止の屋上、1時間目の始まりを告げるチャイムが鳴る。


ごろん、と大の字になって見上げる空は雲ひとつない晴天で。

……なんか、嫌味だ。


私はいつでも泣き出せそうな暗い気分なのに、空はこんなにも明るくてスッキリとしているなんて。


ぼんやりとその透き通るような青色を見つめていると、寝転がる私に影が落ちる。



「わお、ピンクに黒レースとはなかなか……」


「……おはようの代わりがそれですか、真波先輩」



スカートを抑えて起き上がり、目の前に立つ男をじとっと睨む。


だけど先輩はそんなの気にもとめず、真面目な顔つきで「今日はいい日かもしれない」なんて言っている。 サイテー。



「まあまあ、受験生に大事な授業サボらせたんだからこれくらい大目にみてよ」


「私、昼休みでいいって言ったんですけど」


「あれ、そうだったっけ?」



全部をごまかそうとするような胡散臭い笑顔。

真波先輩はよくこれを見せる。


認めたくないけどその笑顔もこれまたかっこいいから、それにごまかされる女の子は少なくないと思う。


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