明日、あなたが目覚めたら



「ちぃちゃんがサボりなんて珍しいねえ。 しかも、鍵がないとはいえ立ち入り禁止の屋上でなんて」



そう言いながら、真波先輩が私のとなりに腰を下ろす。


下熱いけど大丈夫かな、なんて思ってたら案の定となりから「あつっ」と言う声が聞こえた。

やーい、ざまあみろ。



「……1番珍しいのは、自分から真波先輩に連絡したことだと思いますけど」


「はは、そう言えばそうだ」


「何を血迷ったんでしょうかね、私は」



いつものようにそう言うと、真波先輩が少しだけ口を閉ざして。



「……へえ、じゃあ俺戻ろうか?」


「えっ」



慌てて顔を上げると、そこにはにやっと口角を上げた先輩。



「あは、嘘だよ?」



……やられた。


バツが悪くなって先輩からふいと顔をそらすと、となりからくくくと楽しそうな笑い声。



「せっかくちぃちゃんに呼び出されたのに、俺が帰ると思う?
帰れって言われても帰らないよ」



……なんだそれ。



「……帰れって言われたら、帰ってください」


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