明日、あなたが目覚めたら
「……それにね、思うの」
口が勝手に動いたみたいだった。
その声は無機質で、感情なんてまるでないみたいで。
これほんとに私の声?
このロボットみたいな声が?
智が、熱が冷めたらしい顔を私に向ける。 まっすぐに、見てくれている。
ああ、智はこんな人だったな。
智のこんな瞳、忘れてたかもしれない。
ずっと想っていたとはいえ、開いた溝はあまりにも大きすぎて。
その溝を放置し続けた時間は、あまりにも長すぎて。
きっと、忘れようとなんかしなくても、もう忘れかけてしまってることはたくさんあるのかもしれない。
……このまっすぐな瞳のように。
「もし私が彼女だったとしてもさ」
なにを言おうとしてるんだろうな、私。
これ自滅なんじゃないのかな。
なんて思いながらも、もう開いてしまっている口は止められなくて。
「ーー大事な彼女のことなんて、忘れるはずないと思わない?」
そう言った私の声は、ひどく自嘲的に聞こえた。


