明日、あなたが目覚めたら
.



無事病院に着いて自動ドアを抜けると、今までのからっからの暑さとは一転、冷たくて気持ちいい風が私を包む。



「生き返る……」



それにしても、暑くてたまらないとはいえ、ちょっと歩いただけでこんな疲れるなんて……。

やっぱり運動不足かな。


なんてぶつくさ考えながらも、受け付けを済まし、智の病室へ向かおうとした。



「あれ、ちぃちゃん?」



……聞き間違いかな。うん。

あの人の声をこんなところでまで聞くはずかない。 ていうか、聞きたくない。


えーと、智の病室は何階だったっけなーっと……。



「ちょっと、ちぃちゃーん」


「ひいっ……」



ぽんっと後ろから肩を叩かれて、恐る恐る振り返る。

そこにいたのは、やっぱり……。



「何でこんなところにまでいるんですか、真波先輩……」



ストーキングは犯罪ですよ。

それを訴えるように、じとーっと目の前の男を睨む。



「やだなあ、そんなストーキングは犯罪ですみたいな目しちゃって」



……なのに、本人はなんでもないかのようににこやかに笑っているから腹が立つ。


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