ライラックをあなたに…
「俺の肩で良ければいつでも貸すよ………寿々さん専用で」
「えっ?」
「但し、代価はきっちり戴くけど」
「……………プッ」
「フッ、やっと笑った」
「ッ?!」
美男子の彼がキザな一言を言ったかと思ったら、やっぱり私を元気づける為の彼なりの優しさだったのね。
―――――私を笑顔にする為に。
ほんの少し元気になった私は、
「代価って、身体で?」
「………」
「ん?………違った?」
「………寿々さんが言うと、なんか厭らしく聞こえる」
「はっ?」
彼のノリに合せたのに、どうしてそうやって拾うかなぁ。
年下男子との会話はスキルが必要だわ。
ほんの少しだけ和やかな雰囲気になった私達は、国道沿いを肩を並べて歩き、ビジネスホテルへと向かった。
「寿々さん、シングルの禁煙ルームでいい?」
「あっ…………うん」
ホテルのフロントで手続きをしてくれている彼。
泣き腫らした顔を気遣っての彼の優しさ。
だけど、そんな優しさを今噛みしめてしまっては……。
私の運転免許証を手に記入している彼のシャツを掴んで、消え入りそうな声で呟いた。
「もう少しだけ傍にいて…」