ライラックをあなたに…
一颯くんが用意してくれたオムライスを口にしながら、携帯で職探しを始めた。
私が持っている資格は、インテリアコーディネーターとキッチンスペシャリスト。
それと、車の免許と英検、漢検、秘書検くらい。
大手ハウスメーカーでインテリアコーディネーターとして働いていた私にとって、同系等の職場に再就職するのは危険を伴う。
だって、工務店やデザイン事務所で働く事になったら、きっといつの日か、あの人に会ってしまう可能性が大だもの。
ううん、そうじゃない。
あの人が業界の最前線で活躍している姿を見続けないとならないのが苦痛なんだ。
あの人は結婚して素敵な奥さんを貰い、倖せに生活を送っている裏で、私はそんな彼を見届けなくてはならないのが辛い。
苦労して取った資格だけど、これを頼りにするのは無理そうね。
かといって、それ以外のスキルなんてたかが知れてる。
勉強でもして、何か資格でも取ろうかな?
私は溜息を零しながら、マンションから持ち帰った荷物の中からあるモノを取り出した。