ライラックをあなたに…
彼女は頬をほんのり赤く染め、俯き加減で話し始めた。
「実はね?インテリアコーディネーターの資格を取ったのも、本当は自分のカフェを開きたくて間取りを考えてたら、つい面白くて……。だからね?この際、人生のリセットだと思って、好きな事を始めたいの」
「………うん、いいんじゃない?合ってると思うよ」
人生のリセット。
彼女は、やり直すとは言わなかった。
今がスタートであって、昔に戻ろうとはしていない。
既に前を向いて、頑張ろうとしている。
「一颯くんには及ばないけど、料理なら結構好きだし。それに、一颯くんの影響かな?最近、ハーブのお陰で化粧のノリも違うし、何よりお腹の調子も良いしね。って、女性がこういう事を言うもんじゃないね」
寿々さんはしまったと言わんばかりに顔を歪めた。
「いや、いいと思うよ、うん。生きるって、そういう事だと思うよ」
「………そうだよね」
「それに好きな事を仕事として、してる人なんて少ないと思う。俺だって、好きな事を仕事にしたくて頑張ってるし、いいと思うよ」
「そうかな?」
「うん。きっと、良い機会だよ」
「そうだよね?!…………ヨシ、決めた!!来週から通う!!」
「へっ?」
「実はね、下見もして来たの。来週の水曜日から4月クラスがスタートするんだぁ」
「へぇ~。いいじゃん、頑張りなよ」
「うん♪」