ライラックをあなたに…


彼女は頬をほんのり赤く染め、俯き加減で話し始めた。


「実はね?インテリアコーディネーターの資格を取ったのも、本当は自分のカフェを開きたくて間取りを考えてたら、つい面白くて……。だからね?この際、人生のリセットだと思って、好きな事を始めたいの」

「………うん、いいんじゃない?合ってると思うよ」



人生のリセット。

彼女は、やり直すとは言わなかった。


今がスタートであって、昔に戻ろうとはしていない。

既に前を向いて、頑張ろうとしている。



「一颯くんには及ばないけど、料理なら結構好きだし。それに、一颯くんの影響かな?最近、ハーブのお陰で化粧のノリも違うし、何よりお腹の調子も良いしね。って、女性がこういう事を言うもんじゃないね」


寿々さんはしまったと言わんばかりに顔を歪めた。


「いや、いいと思うよ、うん。生きるって、そういう事だと思うよ」

「………そうだよね」

「それに好きな事を仕事として、してる人なんて少ないと思う。俺だって、好きな事を仕事にしたくて頑張ってるし、いいと思うよ」

「そうかな?」

「うん。きっと、良い機会だよ」

「そうだよね?!…………ヨシ、決めた!!来週から通う!!」

「へっ?」

「実はね、下見もして来たの。来週の水曜日から4月クラスがスタートするんだぁ」

「へぇ~。いいじゃん、頑張りなよ」

「うん♪」



< 181 / 332 >

この作品をシェア

pagetop