ライラックをあなたに…
小池教授が俺に提案したのは、元々教授が参加する予定だった国際研究チームのアーボリストの一員として、来週から半年間、南米に長期滞在するというもの。
世界的にも注目を浴びている研究チームで、日本代表が小池教授と言っても過言では無い。
そんな教授のお墨付きを頂き、今回教授の枠を譲って頂く事となった。
言葉では何とでも言える。
そのプレッシャーは計り知れないくらい重圧で、今にも気が狂いそうになりそうだが、教授が与えてくれたこのチャンスを絶対にモノにしたい。
意志を固めた俺をじっと見据えている寿々さん。
そんな彼女を見つめ返し、
「世界的に名が残せるほど実力がある訳じゃないけど、でも行くからには、必ず研究成果をあげて見せる」
「うん、一颯くんならきっと出来るよ」
「だから……」
「…………ん?」
小首を傾げ、俺の言葉に耳を傾ける彼女。
そんな彼女をそっと抱きしめた。
「見合う男になって戻って来るから…」
「………」
「その時、………寿々さんの返事を聞かせてよ」
「…………ん」
「約束だからね?」
「…………うん」