ライラックをあなたに…
「それから、翌日25日の土曜日は、井川シェフが経営するレストランの一室をお借りして、ビュッフェ形式のクリスマスパーティーがあります。皆さんの先輩でもある、ここの卒業生たちも沢山来ます。既にカフェを開かれた方もいますし、シェフとしてまたバリスタとして第一線で活躍されている方もいます。今後、中々触れ合う機会が少なくなる中、色んな方と接する事で多くの情報を得る絶好の機会です。しかも、全て無料ですので…」
講師の先生の言葉に、皆一様に一瞬で表情を明るくした。
カフェ巡りだけでも物凄い特典なのに、クリスマスパーティー?
しかも、有名シェフのお料理がタダで食べられる!!
何て素敵な響きかしら……。
握りしめた手を机の上に置き、瞳を輝かせていると。
「クリスマスイブは最終試験日なので、皆さんにとって、緊張で満喫出来ないかもしれませんが、クリスマスの日は目一杯お洒落して楽しんで頂ければと思います。あっ、ご家族の方や恋人といらっしゃっても構いませんからね~」
にこやかに微笑む先生。
既に試験の事で頭がいっぱいだけど、先生の笑顔を見たら何とかなる気がして来た。
無意識に小さく息を吐くと、
「大切な人と、是非ご参加下さい」
先生の言葉に………胸が切なく疼いた。