ライラックをあなたに…


私はお返しとばかりに、彼にプレゼントを差し出した。


「ごめんね?私、一颯くんのマフラー使わせて貰ってるから、お詫びにこれを」

「え?いいの?マフラーなんて幾らでも使ってくれたらいいのに」


彼は瞳を輝かせ、私の手からプレゼントを受取った。


「開けるよ?」

「ん」


丁寧にラッピングを開ける彼。

そんな些細な事にも彼の性格が現れている。


「おっ!すげぇカッコイイ!!」

「ホント?」

「うん!これならスーツにも合いそう」


彼は嬉しそうにそれを首に巻きつけた。


「どう?……似合う?」

「うん、良く似合ってる」

「ありがとう、寿々さん。めっちゃ嬉しい」

「どう致しまして」


彼の笑顔に釣られるように自然と笑顔になる。

良かった、気に入って貰えて。


マフラーをしたまま、彼は鼻唄交じりにキッチンへと向かって行った。

何だか照れちゃうなぁ。

あんな風に無邪気に喜んで貰えて。


私は彼から貰ったブレスレットを身に着け、愛おしそうにそれを見つめた。


ブレスレットを贈る意味を彼は知ってるのかしら?

ふとそんな事を考えながら……。


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