ライラックをあなたに…


やれるだけの事はやっただと?

権力に負けた奴の戯言など、聞きたくもない。



「……寿々を守るには他に方法が無かったんだ」

「アンタの言い訳を聞くつもりは無い」

「ッ!!」

「職場が同じだから嫌でも顔を合わせるでしょうが、結婚するアンタには彼女の事を心配する資格は無い」



必死に冷静を装ってはいたが、相手の言い草に我慢の緒が切れてしまった。



「今日のところは、出社出来るような状態でないから、アンタが上司に上手く掛け合うんだな」

「………分かった」

「それと!!」

「………何だッ?!」



電話越しに男が嫌悪感を露わにした。


けれど、今はそんな事は気にしてられない。

俺の声に反応して、彼女が今にも起きそうに。


……漸く、寝付いたのに。



俺は深呼吸して、最後の言葉を告げた。



「二度と彼女に近づくな!」




俺はそれだけ吐き捨て、電話を切った。



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