ライラックをあなたに…
カウンターの端で食べ始めると、一颯くんが隣りに腰掛けた。
彼の食事は海鮮丼らしい。
色鮮やかに盛られたお刺身がとても美味しそうに見える。
「ん?もしかして、こっちの方が良かった?」
「あっ……ううん、これでいい」
私は無意識に物欲しそうな顔をしていたらしい。
再びお茶漬けを口に運ぶと、
「真鯛には抗ストレス効果があるから……」
「へ?」
「………ごめん、何でもない」
「………」
隣りの彼から思わぬ一言を聞いてしまった。
―――――抗ストレス効果
それって、私が抱えている問題に対して……だよね?
昨日今日のやり取りから考えても、やはりそれしか浮かばない。
侑弥さんと直接電話で話したのもあるから、もしかしたら彼は知っているのかもしれない。
ううん、間違いなく知っている。
だから、自宅マンションに帰ると言った私をここへ連れて来たんだ。
無言で口に運ぶ彼を横目に見ていると、