心さん、そろそろ俺にしませんか?



好きと伝えられたら、どれだけこんな辛い想いをしなくて済むんだろう。


でも、逆に、好きと伝えたら、どれだけ辛い想いをしてしまうんだろう。


それは俺だけじゃない。きっと、心さんにも迷惑をかけてしまうんだろう。


好き、その言葉が言えない。


言いたくても、言ったとしても、心さんの気持ちが分かっているから……余計に言えない。


知らなければよかった、こんな想い。


どこにいても、心さんの声が一番に耳に届く自分が嫌になる。心さん笑顔に胸が苦しくなる自分が嫌になる。


それでも、心さんのことを追ってしまっている自分がいる。


それは、好きということ。もう引き返せない想いだってこと。


「優生」


「ん」


「自分の中で葛藤中の時に悪いんだけどさ」


周りの生徒はまだ文化祭に浸っている。何、その言葉。俺、顔に出てた?あぁ、きっと怖い形相してたのかも。


イチから真剣な眼差しを向けられる。なんだ?重要なことか?


「今日、片づけの後やっぱり部活あるって」


一気に肩を落とした瞬間だった。



< 126 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop