心さん、そろそろ俺にしませんか?




「何だ、その気持ち悪ぃ顔は」



戻ってすぐ、監督から呼ばれたので監督室に向かったものの、監督に言われた言葉はこれだ。あの、ヒドいですよ?



「あれだろ、お前好きな女いるんだって?」



……なぜそれを。



「部員が口を揃えて言ってた。原田は好きな女にはデレてる、だとよ。今まさにその顔だ」



俺は何も言い返す気力が無くなり、苦笑するだけだった。



「まぁ、それは置いといて本題だ。前から言ってるように試合も終わったし、今日で3年は引退だ」



そうだ。もうキャプテン達は部活に来ないんだ。



「明日からお前は正式なキャプテンとなる。お前だけじゃなく、2年の奴等が剣道部を引っ張ってくことになる。ちゃんと自覚しろよ?」



「はい」



「よし、午後の練習メニューだが、昨日の試合での疲れもあるだろうし、それに筋トレが足りてない反省点も含めて、掃筋にするか」



掃筋とは掃除という名の筋トレだ。武道館内の雑巾ダッシュ、片手で窓拭きをしながら反対側の手でペットボトルのダンベルで筋トレをする、など種類は様々ある。



これを考案したのは、俺も知らない何年も前の先輩達らしい。噂で聞いたけど、その年代はマッチョが多かったとか。



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