心さん、そろそろ俺にしませんか?




「あの、西川先輩の好きな人って……」


「あー聞いた?それが満結さんなんだ。西川の奴さ、ずーっと満結さんのこと見てたから、嫌でも分かっちゃうんだよなーこれが」


中学の頃から、西川先輩を想っていた心さん。


「聞いたわけじゃないけど、絶対満結さんが好きなんだ。昨日の西川の顔見たら……まだ想ってることも分かったしな」


少しだけ、心さんが早足になる。俺はゆっくり足を進める。


「やっぱり満結さんには適わない。満結さんのこと大好きだから、いいところもいっぱい知ってるし」


「でも佐原先輩と付き合ってますよ」


「それでも、西川のこと応援したくなる。アイツの悲しむ顔を見たくないし」


矛盾してる。俺も心さんも。


好きな人が悲しんでるのがチャンスなはずなのに、好きな人の恋を応援しようとしてる。


「そろそろ、ケリつけるかぁ……」


心さん、すみません。


「……そうなると、俺は嬉しいです」


少し前を歩く心さんは立ち止まって振り返った。


「ご飯ありがとう。すっげー美味かった!」


そして、そのままダッシュして帰ってしまった。


話……途中のはずじゃ……?



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