【短】卒業~ずっとキミが好きでした。~
「ハァハァ……、よかった。香山が来てくれて」
息をきらしている柏木。
ここまで走ってきてくれたの?
それに、柏木のその恰好……。
「寒くない?よかったら、これ……」
きっと、学ランもワイシャツも後輩たちにあげてしまったんだろう。
私は、上は青いTシャツ一枚しか着ていなかった柏木に、自分が巻いていたマフラーを差し出した。
「サンキュー」
それを素直に受け取り、柏木はすぐにそれを自分の首に巻いた。
「すげーあったけぇ」
……っ。
柏木の人懐っこいこの笑顔を見たのはいつぶりだろう?
その笑顔を見せられただけで、ジーンときて泣いてしまいそうだった。
「ごめんな、最後の最後で呼び出したりして」
あたしは黙って首を横に降る。
「俺さ、なんとなく香山に避けられてることはわかってたんだけど、」
……え?
私が避けてる?
「けど、やっぱりこのまま卒業したら、俺絶対、後悔する気がしたから」
……ドクン。
「どうせフラれるなら、俺は自分の気持ちを伝えてちゃんとフラれたいと思って」
……え?
どういうこと?
「俺、一年の時に香山と隣の席になった時から、本当はずっと……、」
どうしようっ。
心臓が止まりそうっ。
「香山のことが、好きだったんだ……」
「……っ!!」