【短】卒業~ずっとキミが好きでした。~
私の名前でラブレターを柏木に出したのは、アイラちゃんだったんだ……。
なんとなくそんな気はしていたけど、まさか本当にアイラちゃんが……。
そっか、そうだったんだ……。
「俺のせいで香山に辛い思いとか、嫌な思いさせて、ほんとにごめんな」
「柏木が謝ることないよ」
「けど、俺がその時に香山の名前さえ出してなければ……、」
「私は柏木にラブレターは書いてないけど、でも、柏木のことが好きなのは本当だから……」
「……え?」
柏木が驚いた顔で私を見つめている。
「私も1年の時からずっと、」
本当は、今日。
卒業と同時に、柏木からも卒業するつもりだった。
だけど……
「ずっと、柏木のことが、……大好きでした」
本当は伝えたかった3年間の思いを、今こうして柏木に伝えることができた時。
私の瞳から涙が溢れた。
「……ってことは俺、フラれたわけじゃないんだよな?」
歪んで見える柏木の顔。
私はコクンと頷く。
「だから、柏木。私と……、」
「待った」
「え?」
「その先は、俺から言わせて」
柏木は真剣な瞳でまっすぐに私を見つめる。
「香山、俺と付き合ってください」
……っ!!
「はい」
私が返事をすると、柏木にギュッと抱きしめられた。
終わるはずの恋が始まったこの日。
私たちは中学を卒業するとともに、長い長い3年間の“片思い”からも卒業することができた。
『卒業~ずっとキミが好きでした。~』
** e n d **
sara
2013.3.15