なんで俺じゃあかんねん
「ハル、だって・・・」

え?

なにか小さく葵が言った。

俺のこと、呼んだ?

「ハルの方が・・・かっこいいもん。」

え・・・。

そろりと、俺を見てくる。

上目遣いで。

顔も真っ赤なままで。

「え、と・・・。」

それだけ呟いて、瞬きを繰り返す。

葵は、じっと俺を見つめる。

その瞳がやけに艶っぽくて・・・。

なんか、指先がふわふわする・・・

俺のじゃないみたい。

血液が、めぐってるのがわかる・・・。

関節が、軋む。

なに、こいつ・・・やばいんやけど

めっちゃ、可愛い・・・。

そう思った瞬間、俺は無意識に口元を手で覆った。

そして、今度は俺が視線をそらす番。

どきん、どきん、どきん・・・

心臓が、なってるのを感じる。

かっこいい、なんて言われ慣れてる。

自覚してる。俺の顔はかっこいい。

でも、こいつに言われるのは全然違う。

しかも、こうして正面から、真っ赤な顔で、目を潤ませて・・・

そうやって紡ぎ出された言葉は、俺にとっては、特別。
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