なんで俺じゃあかんねん
「坂井くん、今日ずっと上の空。」

清水さんに突然言い当てられて面くらった。

「好きな人と、なんかあったん?」

しかも女子って、総じてなんでこんなに鋭いわけ?

図星を突かれて、落ち着くためにさっき買ったばっかりの水をごくりと音を立てて飲んだ。

「わかりやすいね!

坂井くんって、好きな人のことになるとそんな感じなんや!」

物珍しそうに俺に視線を向けるけど、それが、余計に小っ恥ずかしい。

「わかりやすいか?」

「うん!すっごく!」

「まじか・・・。」

「でも、それは前にも言ったとおり、うちが坂井くんのこと好きやからやで?

坂井くんのこと見てるから。だからわかるねん。」

清水さんは、にっこり微笑む。

その笑顔を見て、何とも言えず自然と俺の頬も緩んだ。

笑顔を向ける彼女に、同じように笑い返すしか、俺にはできん。

「うちでよかったら、聞かせてくれへんかなって思って。」

清水さんは、俺から視線を外して前に向き直った。

「力になれるかは、わからへんけど・・・

でも、やっぱり坂井くんのこと放っておかれへんから。」



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