なんで俺じゃあかんねん
隣に座る彼女。

ふと、周りの男たちの視線を感じた。

まあ、そりゃそうか。

清水さんは、可愛い。

茶色に近い黒のロングヘアを、今日も丁寧にアイロンで巻いて

化粧もきちんとして、でもけばくなく。

いつもは制服だけど、今日は女の子らしいミニスカートをはいている。

そこからのびる足も白くて細くて。

きっとモテるんやろうな。

「ん?」

俺は無意識に見ていたらしく、彼女が気づいた。

「いや、ごめん。」

きっと俺が隣にいなければ、ナンパされてる。

「変なの。」

また小さく笑ったその顔も、やっぱり可愛い。

うん、本当に可愛い。

けど・・・

こんなに可愛い子も隣にいて、しかもこの子は俺のことが好きって言ってくれた子で。

こんな状況やのに、俺の頭の中は葵のことでいっぱいやった。

今日のボウリングは楽しいし、笑顔も別に無理してるものじゃない。

けど、なにをしていても葵のことが頭から離れない。

昨日の言動が、ずっとどっかにある。

葵が見せた表情が・・・

なんであんな顔をしたのか、それをずっと考えている。
< 284 / 485 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop