なんで俺じゃあかんねん

「約束守ってくれたんやなあ。」

休憩になると、あいつは真っ先に俺のところへ笑顔でやってきて言った。

「約束しんくても、一番先に行くつもりやったんで。」

「そっか。」

俺の返事を聞いて、また笑う。

そんなみんなに笑顔振りまいて、疲れへんのか?



「せや!」

思い出したように、言って俺を見た。

「なんですか?」

「おまえ、坂井さんと仲悪いんか?」

葵?

「別に。」

あっちが一方的に嫌ってるだけで、俺は・・・・。

「なんか、おまえのこと話したら『いじめたって』って言われたぞ。」

葵が言いそうなことやな。

「俺いじめられるんですか?」

「いや、俺はいじめるようなちっさい奴ちゃうから大丈夫や!」

と豪快に俺の肩を叩いてくる。

・・・痛い。


「そうですか。ていうか先輩、葵と同じクラスなんですか?」

「葵って・・・おまえ、姉ちゃんのこと名前で呼んどんか!?」

ずっと笑いっぱなしだった先輩の顔が一瞬驚きに変わった。

なんかそれが無償にうれしい。

しかも、葵の話題で。


「はい。だって、あいつ姉ちゃんって感じしませんもん。」

「なんやそれ!」


あーあ。また笑顔に戻ってもた。


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