なんで俺じゃあかんねん
俺は、とりあえずまた先輩たちの練習風景に注目する。
さっきも思ったけど、あいつ、やっぱり上手いやん。
3年生もいる中でも、ダントツに上手いやんか、バスケ。
なんか、キレがちゃうっていうか、パスの時の踏み込みがいいんやな。
あと、ジャンプしてる最中のバランス感覚の良さはホンマにすごいわ。
あの体勢からうって、シュートって入るねんな。
なんか、あいつのバスケ見てたら、ボールが体の一部みたいに見えてくる。
まるで手足のように自由に動かして、目で見なくてもボールの位置がわかってるみたいな。
ペアでパスを出し合いながらドリブルしてシュート、という単なる基礎練。
見ただけで、あいつのすごさが一瞬にしてわかった。
それくらい、あいつは他とはまるで違うかった。
「っ・・・・!!」
「・・・ハル?」
俺の小さな舌打ちが聞こえたみたい。
「どしたんや?えらい、怖い顔して。」
「・・・別に。」
斉藤は不思議そうな顔をしながらも、それ以上聞いてこなかった。
俺は、やっぱり、
あいつを超えたい。
葵がどうとかの話じゃなくて
それもあるかもしれんけど、
なんか、俺のプライドの問題やと思う。
バスケだけは、誰にも負けたくない!