なんで俺じゃあかんねん
一応、カメラ目線はしたけど
にこりともしてへんで?
あれで、よかったんかな?
ちょっと心配になりながら、女子たちを観察する。
「めっちゃええやん!」
「かっこよく撮れたな?」
俺の心配とは裏腹に、そんな会話が聞こえてきたから安心した。
また撮るとか言われたら、もうさすがにはずかしい。
クラスの連中も、かなり注目してるし。
話したことのない男子たちに悪く思われるのも嫌だ。
「ついでやねんけどさ~。」
まだ、なんかあるんかよ。
「なに?」
「坂井くんって、彼女おるん?」
その質問に、クラスの雰囲気が一瞬張り詰めた。
そのせいで、なんか俺まで緊張したみたいに軽く息をのむ。
「・・・おらんよ。」
正直に答えると、
そのひと言でクラスの緊張がとけた。
「そっかあ。
ホンマ、ありがとう!
じゃあね~。」
女子二人は、手を振って廊下にでていった。