贖銅(ぞくどう)の刑
白い布がめくられ、千歳の目の前に現れたのは、千歳と同じように横たわり、両目をかっと見開いて千歳の方を凝視する、女。

ただ千歳と違う所は、人間らしい暖かみのある肌ではなかった事、そして、身に付けていた衣服から露わになっていた、畳に接する肌の部分が、赤紫色に変色していた事…



…呼吸音が、全く聞こえない。

つまりは、それはある一人の女の死体であった。

「驚いたか?そりゃあ、そうだよな。死体がいきなり出てきたら。

紹介するよ。この人が俺のおふくろで、城戸茜。

予測では、昨日の昼頃、おまえの母親、城戸祐子に殺されたらしい。」

「ええっ!?」

次から次へと襲い来る、衝撃的な出来事に、千歳はただただ、驚きの声をあげるしかなかった。

さらに、実は千歳に言った。

「千歳、俺のおふくろってさあ、決して、俺の前で笑わないって、前にも話した事があったよな。

…そりゃあ、笑わない、いや、笑えないわ。だってこの人、俺の事、ひとかけらの愛情もなしに産んだんだから。

あともう一つ、お前に見せなければいけない物がある。
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