。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
突然起き上がったからだろうかズキリと頭が痛み、あたしは思わず額を押さえて地面に逆戻り。
「ってー…」
「大丈夫ですか?倒れたふしにどこか打ったのかも」
キョウスケが水に濡らしたハンカチをあたしの額に当ててくれる。
キョウスケのハンカチかと思いきや
これ…あたしのだし。
しかもお昼に食った和食の店でブラウスに醤油を飛ばしちまって慌てて拭いた跡もハンカチにしっかり残ってる。
ってことはこれは現実…
夢じゃなかった。
「し、白へびは!!男たちはっ!?」
慌てて辺りを見渡すも、あたしたち三人以外この境内には誰も居なかった。
鬱蒼とした木々に囲まれて、その木々が葉音をざわざわと響かせているだけ。
嘘…
あたしたちが倒した男たち…目の前で心臓を撃ち抜かれて死んだ筈なのに。
死体どころか血の跡さえ残っていない。
「どうゆうことや。銃もあらへん。
死体も消えてる。
どないなってん」
あたしのすぐ隣で石段に腰を下ろした戒も目を細めて額に手を置く。
「二人して同じ白昼夢を見る可能性は極めて低いですね。
でも俺が来たときは誰も居ませんでしたよ。
お嬢と戒さんが倒れているのを発見して、正直慌てましたが」
キョウスケが鳥居の連なりを眺め、
「でも何かあったのは間違ないようですね」
壊れた賽銭箱とご本堂の入り口を目配せ。