。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



起きたばっかりだし、朝飯と言う気分でもなかったが、あたしは何故だか素直に頷いた。


鴇田は用意してあったワゴンを引き寄せ、その上にはクロッシュ(料理皿を覆う銀製のフタ)付きの料理が乗っていた。


ホテルの朝食ってのはやたらと豪華だな。


そのクロッシュをまじまじ見つめて、鴇田は


「どうそ、開けてください」


そう促されたけど、


「何だよ、嫌がらせに爆弾でも仕込んであるんじゃねぇの?」


あたしは思い切り疑いのまなこ。


「爆弾だったら私も死にます。自爆するつもりはないのでご安心を」


冷静にそう言われて、


まぁ確かにそうだ……


それでもあたしは恐る恐るそのクロッシュを開けた。


パカっ


銀製のフタを持ち上げると、白いホテルの名前が入った皿の上に





一輪の赤い薔薇。






「……え?」


思わず薔薇を手に取ると、その下にカードが敷いてあって


叔父貴の字で







“昨日は怒鳴ってすまなかった。ごめんな”






と一言添えてあった。









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