。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「俺には良く分からないけど、でかい事件追ってて、でも捜査が打ち切られたとか何とかで
親父休暇取らされたみたいで」
ギリ…
俺の手の中でアルミ缶がへしゃげる音がした。
「その事件って?お前のおやっさんどんな事件追ってたんだ?」
「さぁ。よく知らない。
親父、家族には仕事のこと滅多に話さないから。……あ、でも倉庫の焼死体がどうのこうの…とか」
畑中組の倉庫だ――――
やっぱりマルボウが動いてたか。
でも一ノ瀬の親父が捜査から外された、って言うのは腑に落ちない。
「んで親父酔っぱらってたし、俺たち早々に別れることにしたんだ。
朔羅を家に送っていく最中でさ…」
一ノ瀬にとって事件はそれほど大した事柄じゃないのか、わりとあっさりと次の話題へ切り替わった。
色々突っ込んで聞きたかったがこいつが何かを知ってる可能性は少ないな。
「そんで?」
俺はまだコーヒーの缶を握ったまま目を伏せる一ノ瀬の横顔を見た。
その顔には朔羅が倒れた、と言う心配とは違う種類の影が宿っていた。
心配―――と言うよりも、何か見てはいけないものを見てしまった
と言う
そう
言うならば〝恐怖”だ。