。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「で、でも材料とかないし…」
提出できなかったこと、採用されなかったことを気にしてる、って思われていそうであたしは急に恥ずかしくなった。
しまったな…
ビリビリに破いてトイレにでも流しておけば良かったな…
「材料ないんならさ、今から買いに行こうぜ~
スーパーだってこの時間まだ開いてんだろ」
戒がさっさと歩き出し、あたしはそのあとを慌てて追った。
「おい!ちょっと待てよ。またお前は勝手に…」
当然キョウスケもついてくるものかと思ったけれど、キョウスケは立ち止まったまま。
振り返ってキョウスケを見て
「どした?お前も来いよ」
と声を掛けると
「俺、用事を思い出しました。金髪くんと約束してたんだ」
キョウスケはあたしたちから顔を逸らし、遠くの方を見た。
「え?キモ金髪野郎と??
お前そんな素振り…」
「分かったよ、んじゃ俺ら二人で作るから、お前に残り物残しておいてやるよ」
と、戒は気にした様子もなくあたしの手をとってまたも歩き出す。
「え!ちょっ。戒っ。キョウスケ??」
二手に別れた男どもをあたしは交互に見て、でも、ぐいぐい戒に引っ張られてるから戒についてくしかないんだけど。
ま、また喧嘩かぁ?
不穏な空気にあたしだけがあたふた。
でも
「気ぃ遣ってくれてんだよ。
俺ら仲直りしたばっかりだし」
へ―――…?
慌ててキョウスケの方を振り返ると、ガードレールに腰をもたれさせたキョウスケはこっちをじっと見つめていて、一瞬だけ目があった。
その視線が切なそうに揺れていて、でもあたしと目が合うと
慌てて視線を逸らすキョウスケ。
キョウスケ―――……