。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「名は十朱 一結。十九歳の田舎娘よ。
父親の鴇田は一結を認知していない。
こないだ母親を病気で亡くして、彼女は一人。
父親の存在を教えたのはこの私。
青龍と白虎の盃の話が出ている今―――青龍にとってもっとも厄介なスキャンダルなはずよ」
「なるほど。心理戦か。
あなたらしいな」
私は写真を眺めて指で弾いた。
確かに鴇田とこの娘―――唇と顎の形が似ている、と言えば似ているかな。
「まともにぶつかったら、こっちが食われるわ。だから周りから崩していくの。
鴇田は龍崎の右腕。彼の手腕なくして今の青龍会は無かった―――
あの小僧を黄龍に仕立て上げ、より一層の統治を図ったのは鴇田の力があったから」
「鴇田はあなたにとって脅威だ、と」
「脅威……まさか」
十朱 志紀子は赤い唇を引き結んだ。
「まぁそんな細かいことどうでもいいさ。私は極道の抗争には興味がない」
だから最初の依頼も断った。
けれど“これ”は別だ―――
殺しじゃない依頼は正直骨が折れるし、面倒だが
―――面白そうなのには変わらない。