桜縁




だが、月の気持ちは決まっていた。


「私……、私も婚姻を受け入れます!」


「月!!」


「!」


「私も浪士組の一員ですから、皆さんのお役に立てることがしたいんです。」


それは月の本心からの気持ちだった。兄を失い、寂しくしてた時も浪士組の皆は、月を励まし元気づけてくれた。


助けた恩だけなら、屯所にいさせてもらうだけで充分なのに、まるで仲間のように扱ってくれ大事にしてくれた。


なのに、危機が迫ったからと言って、逃げ出すわけにはいなかい。それが浪士組にとって得となるのなら、躊躇ってなんていられなかった。


「気持ちは嬉しいが、これは君の人生にも大きく影響することだ。」


「そうだぜ 月!無理に結婚なんて、する必要なんかねぇ!!」


「もともと、人の弱みに付け込んで来たのは、向こうだしな……。月が従うことなんかねぇんだ。」


口々に皆は月を庇ってくれている。それはとても有り難いことであった。


「お前がそう決めたんなら、仕方がねぇが……、単なる哀れみや情だけで動くんならやめておけ。下手すれば、お前は俺達の敵になり、死ぬぞ……?」


土方はチラリと沖田を見た。沖田も刀を構えている時と同じ、冷たい目つきをして月を見ていた。


まるで、その覚悟を試されているようだ。


月はまっすぐと近藤と土方を見据えた。



「……はい。覚悟は出来ています。だから、私も長州へ行かせて下さい!」


その真剣な目をみれば、月がどれだけの覚悟を決めているのか読み取れる。


これに、土方達が異論を解いても、月は従わないだろう。


「……はぁ……。お前が男だったら、良かったんだがな……。」


「え……?」


「なんでもねぇ……!そうと決まったら、返事を出さないといけねぇ。もう一度聞くが、二人共後悔はしねぇな?」


「はい!」


二人の返事を聞き、土方達は月達が長州へ行くとの返事を出した。








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