裏切りの恋
 
土日、あたしはどうやって明との時間を過ごしたのか覚えていない。

ただ明にだけは、自分の異変に気づいてほしくなくて、あたしは精いっぱいの笑顔を向け続けていた。


明は何も言わなかった。

それが本当にあたしの異変に気づいていなかったのか、
それとも気づかないふりをした優しさなのか、

本当のところ分からなかったけど、
何も突っ込まれなかったのは助かっていた。



「おはようございますー」


月曜日はやってきて、あたしはいつも通り午後からバイトに入った。

先週とはまた違った面持ちで、タイムカードを押しに事務室に入る。

そこには、同じようにパソコンに向かう裕翔の姿があった。
 
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