裏切りの恋
「おはようございます……」
「おはよう」
背中を向かれているから、彼が一体どんな表情をしているか分からない。
だけどそれが助かった。
きっとあたしは、
今にも泣きだしそうな顔をしているから……。
あたしはそれ以上何も言わず、事務室を出た。
そこからは仕事モードに入り、明るくふるまってお客さんと接する。
裕翔もほとんど事務室から出ることはなく、顔を合わせることもない。
帰りのミーティングだけ、どうしても向き合う形となったけど
あたしは一度も彼の顔を見なかった。
帰りに支度をして、携帯を開くと、一通の未読メール。
それは裕翔からで……
「裏通りのコンビニで待ってろ」
ただ一言、そう書かれていた。