[中] 0o 恋と果実 o0
発芽

発芽


数日後。暑さはどんどん増し、あと1週間で夏休みに入る。

この学校は夏休みが少し長い。7月15日にはもう夏休み。

まだ失恋の傷が癒えない来夢は夏休みの計画なんか立てず、ただボーッと毎日を過ごしていた。

未由はこのごろ生徒会の仕事が忙しく、部活に入っていない来夢は、一人昇降口を出た。

「おーす。来夢じゃん。」

そう来夢に明るく話しかけてきたのは…、

「拓也。なんでこんな所に?? わかった、サボりだ!!」
「サボるわけねぇじゃん!! これでも校舎周り走ってんだよ。もう3周目♪」
「あっそー。」

来夢はそう言って歩き出した。

「来夢、もう帰るの??」
拓也が驚いたように聞く。
「え?? 拓也も私が部活入ってないの知ってるでしょ??」
「いや、そうじゃなくって…、今日は雅紀先輩、待たねぇの??」

来夢は一瞬ドキッとした。『雅紀先輩』…。

「雅紀先輩は…、もういいんだって。」

本音を隠すように笑う。
ホントはまだ雅紀の事が忘れならない自分が嫌になる。

「…へぇ~。」

思ったより拓也の反応がそっけなかった。
理由とか聞いてくると思ったのに。

もう、好きじゃないんだ、とか思ったの??

軽い女、とか思ったのかな。

自分も止めとけって言ってたのに…。


その時、来夢は気付いた。

【止めとけよ】…??

まさか…、

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