抹茶モンブラン
4章

1. 愛憎 (SIDE光一)

SIDE光一

「光一さん?」

 鈴音のやや怯えた声が聞こえる。
 ベッドの中で鈴音を抱きしめていると、止まらない欲望がどこまでもわいてくる。

「鈴音、高田と何があった?」

 どう考えても高田が僕に言った言葉は、一社員としての枠をはるかに超えたものだった。
 いくら鈴音に個人的好意があったって、あんな言葉を僕に投げるっていうのは相当あいつなりに感情が高ぶっていた証拠だ。

「何……って。何もないですよ」
「もうその敬語もやめて、鈴音の本当の心を聞かせて欲しいんだけど」

 僕は鈴音のさらりとした髪を手ですきながらそう呟く。
 こういうモードになった自分は僕自身にも手に負えない。
 これから鈴音を際限なく責め立ててしまいそうな予感があった。

 愛していると実感した鈴音との夜。
 あの日以来、僕達は何度となく体を重ねていた。
 それでも……僕は、高田と鈴音の間に何があるのかずっと気にかかっていた。
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