抹茶モンブラン
「……さん、乙川さん!」

 名前がずーっと遠くに聞こえて、しばらく私は夢から覚醒する時とそっくりな感覚の中にいた。

「乙川さん!!」

 ようやく堤さんの声がリアルに聞こえてきて、私は軽く気を失ったらしかった。

「救急車呼んだほうがいいかな…」

 深刻にそう言われて、私は慌ててそれを止めた。

「大丈夫です、ちょっとめまいがしただけです」
「でも」
「画面を長時間見てたから、少し疲れただけですから」

 私を支えてくれていた堤さんの腕から離れて、私はどうにか立ち上がった。
 寝不足な上に食欲が無くてあまり食べてなかったのが悪かったみたいだ。

「車で送るから、門の前で待ってて」

 そう言われ、断る暇もなく堤さんは車のキーを片手に駐車場の方へかけて行ってしまった。

 無関心そうだった彼が、あれだけ素早い行動に出るっていうのに正直驚いた。
 一人で帰れますと言い張る私を有無を言わせない調子で彼は私を助手席に乗せた。

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