抹茶モンブラン

3.海ほたる

3.海ほたる

それからさらに1ヶ月経った。
堤さんは1週間のうち半分は外に出て何かしらの会議に参加したりしているから、私は一人でOSをどんどん勉強した。
文系頭の私がコンピュータを触るのが好きな人間だと思わなかったけど、自分の打ったコマンドが順調に走るのは面白かった。
画像を綺麗にトリミングして、ムービーになるように整える作業ぐらいは出来るようになった。

「またこんな時間までやってる……」

堤さんに声をかけられて、私はハッとした。
操作練習をやっている間に、またもや8時近い時間になっていた。
7月に入って日も長くなってきていたから、時間の感覚がおかしくなっている。

「乙川さん、飯ご馳走するよ。今からどう?」

「は?」

変人堤が私を食事に誘った。
歓迎会っていうか、新しく入った時も何も言ってもらわなかったし、そんなもんだと思っていた。
第一1分の時間も惜しんで仕事をしている彼が、食事を誘うなんてあり得ないと思っていた。

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