抹茶モンブラン
「ええと、これ以上俺に言葉にしろとおっしゃるんですか」
「もしかして……」

 私は彼が言おうとしている事を予想して、酔った頭がちょっと冷えた感じがした。

「そう。鈴音さんも大人の女性なんですから……俺が言いたい事の意味は分かりますよね?」

 そこまで聞いて、私はまさかと思っていた事が本当なんだと理解した。
 彼は私をホテルへ誘っていたのだ。
 男女の関係になりましょう……と。

 光一さん以外の人に抱かれる?

 私の頭の中は混乱した。
 久美が言っていた「異性としてどうかというのは寝てみれば分かる」という言葉が思い出される。
 光一さんを忘れる為に、乱暴でも別の男性を知った方がいいんだろうか。

 でも……でも、心の準備が全くできていない。

 ちゃんと自分の中で答えを出せていないのに、私は小山内さんに手を握られ、ネオンのうるさい街中へと入って行った……。
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