『ピュアに恋して』~秘密な関係~ドリーマー
線香花火を渡されて
花火の先に火をつけた
 

初めは、先端に玉が出来た。

小さくぱちぱちっと
火花が散って
だんだんそれが激しく大きくなる。


線香花火を見つめながら、
恋ってなんだろうと香奈は考えていた。



 香奈が春哉を見ると、
いつも機嫌よく愛想も良く微笑みを返してくれる。



 線香花火のほのおが
少しになって
やがて菊の花びらのようになり、
消えて玉が地面に落ちていった。



「線香花火って最高だよね。
俺、激しく燃えて短いけど美しい。

そんな潔い姿に憧れるよ」


 私は、切なさで
いっぱいになるから線香花火は好きじゃない。



「俺ね、香奈ちゃんと
来年も再来年も線香花火出来たら嬉しいなって思う」


「来年も?」


「うん。嫌?」


 しゃがんだまま抱き寄せられて、
春哉の柔らかな髪が頬に触れても
少しも嬉しくなかった。
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