『ピュアに恋して』~秘密な関係~ドリーマー
唇に触れた指先は
そのまま

唇のラインを
なぞり

口角まで
動いた時に

「兄貴にも
先生にも

渡さないよ。

俺、本気になってきたから」


そういうと
当然のように

智也の唇が
香奈の唇に重ねられた。



香奈は、瞼を閉じた。


こうなるような
予感は

智也が唇に触れたときに
すでにしていた。



突然なんかじゃない。


ただ、
望んでた訳でもない。



寂しかった。


誰かに触れてもらう事が
誰かに求めてもらえる事が


嬉しかっただけ。


香奈の頬を涙が伝った。
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