理想の男~Magic of Love~
ホテルに入ると、部屋をとった。

2人分が横になっているのに、ベッドはまだ広かった

「――愛莉…」

目の前には、愛莉がいる。

何も身にまとっていない、生まれたままの姿の愛莉がここにいる。

「――愛莉…」

目が覚めた時、愛莉が覚えていなくても構わない。

それでも、俺は幸せなのだから…。

そう思いながら、愛莉の柔らかい肌に触れていたその時だった。

愛莉の両手が俺の背中をさわった瞬間、俺はハッと我に返った。

――俺は、一体何をしているんだ?

好きとは言え、自分は酔っ払った女を抱こうとしている。

こんなの、犯罪も同然じゃないか。

自分がものすごく嫌なヤツに感じた。

このまま愛莉を抱いたって、虚しいだけだ。

犯罪も同然だ。

俺は愛莉から離れると、裸にシーツをかぶせた。

自分が脱がされたことに気づいていないと言うように、愛莉はまだ寝息を立てていた。

その寝顔に、俺は名残惜しさを感じながら離れた。

脱ぎ捨てたズボンを身につけると、その日はソファーのうえで眠った。
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