理想の男~Magic of Love~
目が覚めた瞬間、俺は思った。

賭けをして見よう、と。

だけど…別の言い方をするならば、悪あがきだ。

もしかしたら、これがきっかけで愛莉が俺に振り向いてくれるかも知れないと言う…そんな小さな期待をしていたんだ。

「寂しかったら、いつでも呼べ」

その言葉と共に渡したメアドの紙は、俺の精いっぱいの勇気だ。

それを受け取った愛莉は俺のことを知らない。

知らないなら、彼女の幸せを願った方がずっといい。

愛莉が笑っていますように。

幸せになっていますように。

賭けをしながら、俺は何度も願った。

矛盾しているにも程があるな。

魔法が使えないなら、好きな女の幸せを願おう。

この出来事は、神様が俺にくれたプレゼント。

一夜だけの夢として、この恋に終止符を打とう。

そう、思った。
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